この教授には Smalltalk を本当に理解することなど永久に不可能かも…(追記あり)

 Rubyは純粋なオブジェクト指向言語だ。これは、Rubyではすべてのものがオブジェクトだ、という意味だ。20年以上たってしまったが、筆者はいまになって、Smalltalkのプログラミングコミュニティーがあれだけこの言語に熱中していた理由が分かるようになった。筆者はこれまで、 Smalltalkを本当に理解することはできなかった。それは、その文法が(筆者にとって)かなり謎めいていたからだ。しかし、RubySmalltalkのようにいずれは消える運命にある。だが、筆者もいまは「分かる」ようになり、楽しいと感じている。

初歩の「Perl」「Python」「Ruby」 − @IT情報マネジメント


勝手に消すな!(怒



追記
abee2 さんのコメントを頼りに原文にあたると、そこには Ruby, however, is like Smalltalk for mere mortals. と書いてあるので、これはひどい誤訳ですね。(mere mortals は慣用句で「生身の人間」、転じて「突出した技能を持たない、ごくふつうの人」ってニュアンスでしょうか…) ごめんなさい教授。悪いのは訳者でした(^_^;)。でも、まあ、訳者がこんなふうに表現してしまうことも総じて、世にはびこる“Smalltalk を隙あらば殺したがる症候群”のなせる悪例のひとつなので、このままさらしておかせてください。


あと、同じく abee2 さんが示してくださったリンクで同教授が引用しているダン・インガルス(黎明期の、しかし、その後変わらぬ and/or あえて変える必要を感じさせない 〜アラン・ケイ以外には…でしょうが(^_^;)〜 堅実な Smalltalk の基礎を作り上げた Smalltalk の実装の人。アラン・ケイゴーストライターとも…)の主張もぜひ、この機会に目を通していただければ幸いです。これは、とかく誤解されがちな(あるいはよく、「Smalltalk は言語ではなく環境だ」というように簡素に語られておしまいにされがちな…)Smalltalk の「正体」を知っていただくのに役立つ、比較的簡潔で正確で優良な情報の一つだと思います。

 Smalltalkプロジェクトの目的は、情報の世界であらゆる年齢層の子供を支援することだ。十分簡潔で強力なメタファーを特定して活用し、1 人の人間が数字やテキスト、そして音や画像まで、さまざまな情報を利用し、創造的に扱えるようにすることが課題だ。われわれの経験では、Simulaのクラスとインスタンスの概念は、情報構造の傑出したメタファーだ。同じように、処理の記述にはメッセージ送信のコンセプトも簡潔かつ一般的であることが分かった。われわれは、この機構を既存システムの「仕様」として提供するのではなく、これら2つのメタファーをSmalltalkプログラミング言語の出発点とすることにした。その結果、パーソナルコンピュータでテキスト編集、デバッグ機能、ファイル処理、グラフィックス表示を独自に実現する動きの軽快なインタラクティブシステムが完成した[注2]。

[注2] 論文の完全版は、http://194.1.129.23/software/smalltalk/Smalltalk-76/Smalltalk76ProgrammingSystem.html

The Rational Edge (オブジェクト指向を超えて) ― @IT


ついでに、[注2]として示されたリンク先のこの論文の挿絵は、ジョブズたちが Lisa や MacGUI を作るにあたって参考にした“ALTO”(ALTO 向けにはこの後も Star を含め、複数の GUI OS が作られたので、正確には「ALTO + Smalltalk = 暫定ダイナブック環境」)がどんな GUI を持っていたのかを知るのにも役立つと思います。(もっとも、Apple の開発陣が PARC を訪れたこの二年後には SmalltalkGUI も、もう少しブラッシュアップ&機能拡張され、のちの Smalltalk-80 のそれに近づいたものになっていたでしょうけれど…)。

http://squab.no-ip.com/collab/uploads/61/st76figure3s.PNG