おそらくそれなりに名の知られている Python ユーザーが、学生時代の経験と最近の Squeak を通じて得た知識で(なにをとちくるったか) Smalltalk にかみついてみたら、彼が現存すると思いもしなかった Smalltalk ユーザーたちからかなりの数の認識の誤りを指摘されてトーンダウンしてしまったというありがちなパターン。

ええ、まあ、そんなもんですよ。世の中の偉いひとの Smalltalk に対する認識や知識なんてもんわ…。逆に、英語圏Smalltalk コミュニティのアツさを(駄目だよ…ハナから色眼鏡で Smalltalk を見ることしかできない御仁にそんなこと言っても…と思いながらも(^_^;))目の当たりにしてちょっと驚かされたりしました。

あと、多くの熟練 OOPL ユーザーにとって、OOP において古典、化石、過去の遺物に過ぎないはずの(したがって自らは学ぶ必要すら感じずにこれまできた) Smalltalk がいまだに(しかも、よもや Smalltalk とは関係あるまいと思っていた“新しい”トレンドにおいても)ことあるごとに引き合いに出されるのは、理解に苦しみ、かなりフラストレーティブなことであるということが背景にあるようにも思えます。

現実問題として、自分の専門とする言語の最新情報に追いつくのに忙しくて Smalltalk まで手がまわらん…というのもあるでしょうが、指導的立場にある自分がまさか新しい言語をひとつ身につけるのに手間取る姿を想像したくない…という恐怖心も見え隠れしているように思えてしまうのは、うがちすぎというものでしょうか。でも私には、ちょっと暇をみて VisualWorksSqueak をインストール、起動したまではいいものの、そこで何をしていいやら途方にくれてしまった経験を密かに隠し持っている大先生も少なからずおられるような気がしてなりません(^_^;)。

Smalltalk を学ぶこコツ、特にしょっぱなの挫折を防ぐコツは、たったひとつ。それを言語処理系だと思ってかからないことです。まっさらな気持ちで(そう。UNIXWindowsMac もぜ〜んぶあたまの中から追っ払って、そして極端な話、ファイルシステムの存在すら忘れて…)新しい未知の仕組みで動作する GUI ベースの OS がそこにある…と頭を完全に切り換えることができさえすれば、ふしぎなくらい自ずと道は開けます。挫折した経験のあるかたは、ひとつだまされたと思って、ぜひ今一度お試しあれ、かし。